写経について

心と身体に効く写経

 訪問看護師さんからの課題で「般若心経」の写経をもらいました。筆など年賀状の拙い添え書き程度でしか何年も使っていません。当然筆ペンで書いても字は滅茶苦茶下手ですし時間もかかります。
 写経はもともと仏教における修行の一つでしたが、近年では心と身体を癒してくれる効果があることから治療の一手段として看護師が課題としたものです。
 一般的には276文字の「般若心経」を筆で書き写す作業ですが、かかる時間はなんと1時間ほど。
 一字一字を仏さまと思って丁寧に書き写していくため、時間がかかるのです。
 非効率と言わざるを得ない作業を、なぜ私に課題として与えられたのでしょうか・
 それは心と身体に“効く”からです。

写経の効果

写経が心と身体に与える効果は、一つや二つではありません。
① 精神が安定する
写経に集中すると、β(ベータ)エンドルフィンという神経伝達物質が分泌されることがわかっています。
βエンドルフィンは鎮痛効果や幸福感を得られる物質で、脳内麻薬という別称もあるくらいです。
ランナーズハイになったり美味しいものを食べたりいたときにも分泌される物質です。
また写経に本気で集中している間は、余計なことを考えません。
普段抱えている悩みやストレスからも解放されます。
目の前の作業にひたすら没頭することが、精神や心の安定に繋がるということです。
近年流行している、瞑想やマインドフルネスと同様の効果があると言えるでしょう。
② 脳が活性化する
写経は認知症予防や改善に役立つことがわかっています。
写経なんて般若心経をただ写すだけだろう、なんて侮るなかれ。

写経の難しさ

 実際にやってみてわかりましたが、一字一字間違えない様に、目と手を動かす作業はかなり神経を使います。
 写経にはこのように高い集中力が求められることから、大脳の前頭前野が活性化すると考えられています。
 意外かもしれませんが、効果はオセロより高いらしいです。
 前頭前野を活性化させると、思考力や記憶力、コミュニケーション能力などが高まるそうだそうです。
 しかし実際に写経となると、その難しさに悲鳴を上げました。まず思うように筆ペンが使えません。お手本のように書けないのです。集中しようとしても焦ってしまいます。これが修行になると思うのですが、途中で飽きてしまい筆を止めてしまいます。しばらくして気を取り直し、また筆を執り紙に向かうのです。この繰り返しをして少しずつ写経を進める毎日です。精神的に良い効果が出てきたら良いと思います。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪