ダウンタウン以前以後の違い
M-1グランプリで、松ちゃんが出てきたときに流れるキャッチフレーズが『漫才の歴史はダウンタウン以前以後で分かれる』というナレーションなのですが、具体的にダウンタウンが前の世代と何が違ったのかを、松ちゃんは以前から評価が高いので、今回はあえてツッコミ、浜ちゃんの視点から書いていきたいと思います。
ダウンタウンの以前の漫才といえば、1980年代に起こったマンザイブームです。そこでツービート、紳助竜介、ザぼんち、B&Bといったスターたちが生まれ人気を発しました。
このマンザイブームで注目をされたのが、ボケの人達です。ビートたけしや島田紳助といった人達が漫才の中心となり、ツッコミの方はそれに対してありきたりなツッコミしか出来ませんでした。
そんなツッコミの弱さを証明するかのように、俺たちひょうきん族では、うんうんと漫才中にツッコんでいるだけの人達がユニットを組み、うなずきトリオというものを結成して笑いを取っていたぐらい、ツッコミは存在感が薄いモノでした。ボケの力で押してツッコミはありきたり、それがマンザイブームのときの漫才でした。
浜ちゃんはツッコミの評価を格上げした
しかし、そんなマンザイブームも終わり、ボケの人、ビートたけしや島田紳助が生き残ったという時代背景の中、NSC一期生、養成所初めてのコンビとして出てきたのが、ダウンタウンでした。
そのダウンタウンの漫才は、松ちゃんの独創的なボケも強烈でしたが、ツッコミ浜ちゃんの勢いもブーストとしてあり、お互いが高みに上っていくような漫才でした。
この浜ちゃんのツッコミこそが、前の世代のうんうんうなずいているだけの漫才とは違う、新しい漫才を作ったのではないかと思っています。
ダウンタウン前の世代の漫才師たちはボケの人しか生き残ることができませんでしたが、ダウンタウン以後は、ツッコミの人の評価を上げ、現在でもその流れは続いていると思います。
ダウンタウン以前以後の漫才の違い、それは浜ちゃんのツッコミなのではないでしょうか。
さらに浜ちゃんを評価する理由
さらに浜ちゃんを評価する理由は、ツッコミの人がMCをするという文化を作ったことです。浜ちゃん以前は、たけしや島田紳助といったボケ、笑福亭仁鶴や笑福亭鶴瓶、明石家さんまみたいな落語家、森脇健児や中山秀征みたいなアイドル的な(昔そういった時代があったのです)人気のあるタレント、またはアナウンサーの人がMCをやるのが当たり前でした。
しかし、浜ちゃん以降、ツッコミの人がMCをやって仕切り、ボケの人が自由にボケていくというスタイルが確立されました。そうなのです、今やナイナイの矢部、ネプチューンの名倉、くりーむしちゅーの上田、サンドウィッチマンの伊達、千鳥のノブ、かまいたちの濱家など、ツッコミの人がMCをやるのが当たり前になっていますが、その流れを最初に作ったのが浜ちゃんでした。
ツッコミの人がMCをやることになり、漫才師二人で成り上がっていくというストーリーを作ったことこそ、ダウンタウン以前以後に漫才は分かれるという定説の理由なのではないでしょうか。
もちろん明石家さんまと並んで、関西弁を全国区に高めたという意味でも、浜ちゃんの「なんでやねん!」は大きかったと思います。
今では当たり前になった強いツッコミ。その源流を作った浜ちゃんを、松ちゃん同様に評価するべきでしょう。
漫才はダウンタウン以前以後に分かれる。それはツッコミ浜ちゃんから見ても間違いなさそうです。