北杜夫との出会い

北杜夫に熱中する。

 中学校の頃からとにかく読書数を増やそうとした。SFや戦記物が多かったが、母の実家から持ち帰った北杜夫の「楡家の人々」を取り合えず読んだ。北杜夫は和歌で有名な斎藤茂吉の次男である。少年時代は昆虫採集ばかりしていた優等生だったらしい。ファーブルのような昆虫学者になろうと(旧制)松本高校(長野県松本市)に進学する。そこで学友達と刺激しあう日々を送る中で初めてトーマス・マンの作品に出合う。それがもとで作家を目指すようになる。バンカラな寮生活を描いた「ドクトルまんぼう青春期」の愉快さに私はすっかり北杜夫に酔いしれた。そして自分も実行してやろうとしてぎりぎりの勉強で高校の単位をとる作戦に出て家族や担任を嘆かせたものだ。結果うまく卒業しなんとか志望校に合格したものの、今度やり直すならもっとまじめにやってみたい。

ドクトルまんぼう航海記。

 北杜夫はその後、精神科医になった後で「ドクトルまんぼう航海記」で作家としてデビューする。

双極性障害。

 その後「双極性障害(躁鬱病)」になり自己破産するほどの窮地になったと娘さんが書いていた。それを見て私は北杜夫の作品と距離を置くようになった。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪