クリスチャン・アルヴェスタム
「デスボイス」、「デスボイス」と我々は言いがちだが、あれは和製英語で造語である。海外へ行ってデスボイスと言っても伝わりません。
正しくは、グロウル、ガテラル、シャウト、ピッグスクイールなどと呼ばれ、かなり細分化されています。
今回はそんなグロウルなどのガナリ声と美しいクリーンボイスをたった一人で巧みに使い分ける超絶(というか僕が個人的に好きなだけな)ヴォーカリストを紹介していく。
最近は一人でもかなり上手いヴォーカリストも多くなってきたが、一昔前までは、シャウト担当とクリーン担当でヴォーカルが分かれているバンドや、一人でどちらもこなすけど、どっちも微妙だったり、どっちかは上手いが片方がうーん…といったヴォーカルも多かった。
しかし今回は、シャウトもクリーンもどちらも一級品!なヴォーカリストを紹介していきます!(二回目)
まず一人目に紹介するのは、クリスチャン・アルヴェスタム(Christian Älvestam )
クリスはスウェーデンのメタルバンド、Unmoored(アンムーアド)やScar Symmetry(スカー・シンメトリー)、Miseration(ミザレーション)など、様々なバンドに在籍していたことで有名である。
その中でも特にクリスの本領を発揮をしていたバンドはScar Symmetry(スカー・シンメトリー)だろう。
クリスがScar Symmetry(スカー・シンメトリー)に在籍していたのは3rdアルバム、『Holographic Universe』までであり、クリスの脱退後はグロウル、シャウト担当、クリーンボイス担当と、ヴォーカルが二人体制となる。個人的に今のスカシン(個人的な略称)も素晴らしいのだが、クリスの野獣の咆哮のようなグロウルと美しいクリーンボイスを一人で使い分けるという点がウリだったのに…正直うーん…という感じである。
こちらの曲がおそらくスカシンで一番人気の曲ではないだろうか。クリスのグロウルとクリーンの使い分けも存分に楽しめる。
上記のような低音グロウルだけではなく、このような高音のシャウトもお手の物。
うん、上手い…素直に上手い…….
トミ・ヨーツセン
続いて紹介するのはフィンランドが誇るヘヴィメタルバンド、Amorphis(アモルフィス)のヴォーカル、トミ・ヨーツセン(Tomi Joutsen )である。
Amorphis(アモルフィス)も北欧あるあるだが、初期はオーソドックスな北欧デスメタル、メロデスを演っていて、ギタリストのトミ・コイヴサーリ(Tomi Koivusaari )がヴォーカル、グロウルを兼任していた。ただ、コイヴサーリの兼任は忙しすぎる、無理があるとの要望で、サポートヴォーカルを加入させたりと、いろいろと道を経て、最終的にトミ・ヨーツセン(Tomi Joutsen )を正式なバンドメンバーとして加入させた。
ヨーツセンの歌唱はというと、とにかくグロウルが凄い。粘り気があり、伸びもある。本当に野獣か怪獣が吠えているようだ。
そしてクリーンも素晴らしい。少し低めの声だがとても渋く歌い上げる。
ヨーツセンも前述のクリスも、どちらも何も無理していない、余裕な感じで歌ってのけるのがまたその魅力を引き立てる。
最近の曲だが、ヨーツセンのグロウルが存分に楽しめる。
こちらは今年二月に出た新曲。哀愁漂うメロディアスなギターとヨーツセンの力強いグロウルが絡み合う。
こちらも今年の新曲から。こちらは何といってもサビのクリーンが素晴らしい。非常に美しく、哀愁漂っている。
その他にも
他にも個人的に好きなヴォーカリストを挙げていけばキリがないので、この辺で。
名前だけでも紹介していこう。
お次は日本に戻ってきた!日本の伝説的ラウド・ロックバンド、Pay money To my Pain(ペイ マネー トゥー マイ ペイン)(略称はPTP)のヴォーカル、K(本名:後藤慶)である。PTPは日本のラウド・ミュージックシーンの立役者であり、日本のラウド・ロックを語る上で、まず知らない人はいないだろう。
Kは31という若さでこの世を去った(うつ病、精神疾患を患い、自殺か投薬の副作用による心不全か、いろいろ議論されているが、今も死因は謎のままである)後も、彼の残したメッセージ、作品は今なお色褪せることはない。
Kの歌唱は、グロウルというよりはシャウトに近く、喉の奥から絞り出したような独特なシャウトが特徴。それが何とも自身の辛さ苦しさを非常に巧みに表現している。
クリーンはその刺々しいシャウトとは打って変わって非常に高音で美しく、Kの中にある優しさのようなものが感じられる。
皆さんにも好きなヴォーカリストはいるでしょうか。たまにはその声に心を寄せて疲れた心を癒しましょう。