Edge of Sanity、そして鬼才、ダン・スワノを語る

メロディックデスメタル

「メロディックデスメタル(通称メロデス)」をご存じだろうか。デスメタルにクラシック音楽の要素や、アイアン・メイデンを代表するNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)勢のバンドの特徴であるツインギターによるハーモニックでメロディアスなギターリフを取り入れたメロディアスなデスメタルである。デスメタルなのにメロディアス。当時は革命的な音楽ジャンルとして大いに注目されたであろう。

代表的なバンドとしてはDark Tranquillity(ダーク・トランキュリティ)、In Flames(イン・フレイムス)、At the Gates(アット・ザ・ゲイツ)、Arch Enemy(アーチ・エネミー)、Children of Bodom(チルドレン・オブ・ボドム)辺りが挙げられるだろう。

メロディックデスメタルはスウェーデン(またかよ)のヨーテボリで発祥したといわれる。スウェディッシュデスメタルの聖地がストックホルムならメロディックデスメタルの聖地はヨーテボリということになる。

だ・が・し・か・し、

いくらヨーテボリ発祥だと言われようが何だろうが、何の土台のない所からポッと生まれる訳がないのである。必ず他の土地でメロディックデスメタルの土台となるような音楽やバンドが生まれ、それに影響して一つの音楽ジャンルとして確立するのである。ではそんな「メロディックデスメタル黎明期」を支えた幾つかのバンドから個人的に最推しのバンド、Edge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)(活動期間1989年 ~ 1999年)について語っていこうと思う。

メロディックデスメタル黎明期

メロディックデスメタル黎明期のバンド?メロデスの元祖となった作品?普通はCarcass(カーカス)のHeartwork(ハートワーク)とかじゃないの?

一理あるが、それより数年前からデスメタルとメロディーをどうにかして融合させようと実験を重ねていたのがEdge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)なのである。

Dan Swanö(ダン・スワノ)率いるEdge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)、実はほとんどのアルバムがダン一人によって制作されている。ダンはヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム、プログラミングなど、全てをこなすマルチプレイヤー、まさに鬼才なのである。そして彼の作る音は何とも独創的でクセが強い!一度聴いただけで彼の作曲だなとわかるほどである。もうバンドというか、もはやダンのソロ・プロジェクトのようである。

Edge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)の初期の作品、それは謎のヴァイオリンが入ったり、子供のセリフが曲中に入っていたり、よくわからないけどクセになるヘンテコな効果音を挿入したり、いきなり曲が速くなったり転調したり、、、、もうクセのオンパレードである。何とかメロディアスな要素を取り入れようとしたり、そこらのスウェディッシュデスメタル・バンドとは一味違うぜ!っていう差別化を出そうとかなり苦労・悪戦苦闘していたのがわかる。音質も非常にチープである。ダンの作曲はメロデスの基盤を築いたとは言われるものの、オーソドックスなメロデスとは言いがたい実験的なスタイルだったことがわかる。クセが強くて目が回りそうだが聴き込めば聴き込むほど味の出てくるスルメ的音楽である。ちなみにダンは左利きだが右利き用のギターをわざと左に持って弾いている。楽器の弾き方までクセだらけだ。

Edge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)解散後の現在のダンは、様々なデスメタル、ブラックメタルバンドのプロデュースや編曲に携わったり、新たな自身のバンドを立ち上げて活動している。

Edge of Sanityを聴いてみよう!

Edge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)の1stアルバム『Nothing But Death Remains』から一曲目の『Tales….』を

 

うーん初っ端からクセ強すぎ…曲展開が読めない…音チープ過ぎない?(ドラムの音デカすぎない?)

ダンもこの頃のレコーディングの質はクソだったとも言っている。本人も納得いってないみたい。

続いて2ndアルバム『Unorthodox』から『Enigma』を

 

うん、まあ音質はだいぶ良くなったが…長い……

なんか一曲の中に三章も入ってるのか……

次に同アルバムから『The Day of Maturity』を

 

何!?このイントロのわけわからん不気味な(?)効果音?Edge of Sanity節出てますなあ。

続いて3rdアルバム『The Spectral Sorrows』から『Darkday』を

だいぶストレートな曲になってきましたね!ちなみに私イチオシの曲です。カッコイイ!

ちなみにこの頃からだんだんとEdge of Sanityは注目されるようになってきます。

そして名盤4thアルバム『Purgatory Afterglow』から数曲

う~ん、良い。長いけどドラマチックな曲展開。これぞメロデスって感じになってきました。

これも素晴らしい。速さと激しさの中に哀愁あふれるメロディーが。メロデスの理想形ですね。

これはデスメタルではないのですが、叙情感あふれる美しいギターにダンの低くて渋い声が合わさる名曲です。

そして5thアルバム『Crimson』ですが・・・・

な ん で だ よ ! !

なんでアルバムなのに40分もある曲一曲だけなんだよ!!

なんでせっかく前作で付いたファンを再びふるいにかけるようなことをするんだよ!!!

ダン「俺は俺が作りたい音楽だけ作る」

・・・これがEdge of Sanity(エッジ・オブ・サニティ)であります。やりたいことをとことんやる。その強い意志がかっこいいと思いませんか?

Edge of Sanityよ、永遠なれ!Edge of Sanity大好き!!

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪