メタル大国北欧スウェーデン、スウェディッシュデスメタルを語る

スウェディッシュデスメタル

デスメタルの本場といえばアメリカはフロリダ州、タンパである。Death(デス)やObituary(オビチュアリー)、Morbid Angel(モービッド・エンジェル)といったバンドがデスメタルの礎を築き、今やデスメタルの超超超重鎮バンドである。

しかし、上記のいわゆる「フロリダ・デス」に対し、ヘヴィメタル大国である北欧三国のデスメタルの本場といえばスウェーデン、フィンランド、とりわけスウェーデンのストックホルムであろう。(ノルウェーはデスメタルよりもブラックメタルの本場である)

ストックホルムでは90年代に爆発的なデスメタルのムーブメントが起きた。後にスウェーデンのデスメタル、つまり「スウェディッシュデスメタル」というジャンルで呼ばれるようになる。

独断と偏見による考察

アメリカのデスメタル、スウェーデンのデスメタル、どちらも勿論素晴らしいのだが、興味深い「違い」がそこにはある。以下、私の超個人的な感想と、独断と偏見でそれを語ってみようと思う。(それはおかしい!間違っている!等の意見は随時、募集中で御座います)

アメリカのデスメタル、スウェーデンのデスメタル、大きな違いは根底に「宗教観」があるかないかである。

アメリカのは、「お前をぶっ〇してf〇ckしてやるぜグヘヘ」「俺たちは〇んで徐々に腐って溶けていくんだぜグヘヘ」「脳ミソにウジが沸いているぜグヘヘ~~」といった感じに、非常にお馬鹿な(失礼)、頭を空っぽにして楽しめる内容の曲が多い。実際にObituary(オビチュアリー)のフロントマン、ジョン・ターディーは、なぜ自分たちの作品の全部に歌詞カードが付いていないのかと聞かれた際に、「特に意味のないそれっぽい単語ばかりを歌っているだけだからだよ」と答えた。

もちろん例外もある。オカルティックな内容の曲が中心のMorbid Angel(モービッド・エンジェル)や、自称「悪魔の申し子」グレン・ベントン率いるDeicide(ディーサイド)はバリバリの悪魔崇拝、サタニズムを掲げ、「神を〇せ」、「キリスト教徒を〇せ」、「サタンを崇めよ」などといった曲ばかり作っている(まあただのパフォーマンスだが)

それに代わってスウェーデンのデスメタル、スウェディッシュデスメタルは宗教的な内容が背景にある曲が多い。それはキリスト教であったり、悪魔崇拝であったり、Unleashed(アンリーシュド)のように、キリスト教伝来以前の世界への回想、北欧神話の伝承をテーマにした曲を中心に作曲している。デスメタルでありながら、ブラックメタルの要素も多少含んでいるのである。やはりアメリカよりも北欧の方が宗教観が強いのだろうかと私は勝手に考えている。

代表的バンドとおすすめの曲

スウェディッシュデスメタルを代表する最重要バンドはEntombed(エントゥームド)である。なんといっても彼らの音の特徴は極限にまでディストーションを効かせた高音のギターリフであり、聴いていると耳が千切れるのではないかと思うほどジリジリ、チリチリとした独特なギターサウンドが素晴らしい。激しさと共に、このギターはまるで凍てつくストックホルムのブリザードを連想させる。

Entombed(エントゥームド)の発明したこのギターサウンドは、スウェディッシュデスメタルの大きな特徴となり、多くのフォロワーバンドを生み出した。(これもうほぼEntombedじゃねーか!とかEntombed好きすぎるだろこいつら!!といった若手のバンドも多く出てきている)

 

そしてEntombed(エントゥームド)はさらなる試みを行う。1stアルバム『Left Hand Path』(邦題:顛落(てんらく)への道)と2ndアルバム『Clandestine』(邦題:密葬)まではいわゆる突進系のオーソドックスなデスメタルを披露していたが、次第にリフはMotörheadを思わせるゴリゴリのロックン・ロールなリフでデスメタルを演り始める。これは後に「ロックン・ロール」と「デスメタル」を融合させた「デス・エン・ロール(Death ‘n’ roll)」と呼ばれる音楽ジャンルとなる。同じジャンルのバンドではオランダのGorefest(ゴアフェスト)がある。

 

最終的にEntombed(エントゥームド)はメンバー内で分裂が起き解散。音楽性はそのままに、新たにEntombed A.D.(エントゥームド A.D.)を始動させる。

だが悲しくも長年Entombed(エントゥームド)とEntombed A.D.(エントゥームド A.D.)のヴォーカルを務めてきたL-G・ペトロフは2021年3月7日、49歳の若さでこの世を去る。彼の残したピュアなスウェディッシュデスメタル、そして激渋な男のロックンロールなデスメタル、デス・エン・ロールをぜひ聴いていただきたいものだ。

次に紹介するスウェディッシュデスメタルの代表格バンドはDismember(ディスメンバー)である。本場ストックホルムのスウェディッシュデスメタルではEntombed(エントゥームド)と並び、二大巨頭バンドといえる。

Dismember(ディスメンバー)もEntombed(エントゥームド)と同じく、ジリジリ、チリチリとした刺々しいギターサウンドを特徴としている。小さな違いとしては、Dismember(ディスメンバー)はいわゆるツインギター(リードギター、リズムギターの二人のギター)によるハーモニックなギターリフをよく披露している。ドラムはほぼツービートの突進系だがそこに時々メロディアスなギターが重なる。Dismember(ディスメンバー)も初期はEntombed(エントゥームド)と同じく、ストレートなデスメタルを演奏していたが、3rdアルバムあたりから徐々に上記のように突然叙情的でメロディアスなギターのパートを挿入するスタイルへと変わっていく。デスメタルなのにメロディアスなのである。実に面白い。このスタイルは同じくスウェーデンのヨーテボリで生まれたメロディック・デスメタル(簡単にいうと、メロディアスに演奏するデスメタル)と非常に深い関係性があると考えられる。Dismember(ディスメンバー)の名曲といえば様々な意見が飛び交うと思うが、個人的には一番Dismemberの音楽として完成されていると感じる『Of Fire』を推したいと思う。

余談だがDismemberは解散後、2019年1月に再結成を発表した。嬉しすぎる。

その他にも、速さよりも重さ・グルーヴ感に重きを置いたGrave(グレイヴ)、前章で紹介したキリスト教伝来以前の北欧神話の世界をテーマにしたUnleashed(アンリーシュド)、他にはCarnage(カーネイジ)、Desultory、Edge Of Sanity、などなどここでは紹介しきれないほど多くのバンドがある。

アメリカとは一味違う、凍てつく北欧の寒さを感じられるスウェディッシュデスメタル、あなたもぜひ聴いてみては?

私は次は、スウェディッシュデスメタルの誕生に影響を与えたスウェディッシュ・ハードコア、クラスト・コア、スウェディッシュ・クラストを掘り下げていきたいと思っている。

weitten by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪