小関順二 問題だらけの12球団2023感想

脳梗塞で倒れても今年も出版をした男気

小関順二さんが2000年度以降からずっと毎年出版をしている、問題だらけの12球団なのですが、今回ははじめにというプロローグで3度目の脳梗塞に倒れて、今回は左半身が麻痺する重体の中書かれたことが触れられています。

リハビリの真っ最中で狭い病室の中、書かれたという今回の問題だらけの12球団はそんな状態でも充実をした内容となっています。
例えば、リハビリが回復期にあたる発症から6カ月の間にちゃんとリハビリをしないと元の状態に近づくことが困難になることに触れ、若手の抜擢をするのにも重点的に抜擢をしないといけない頃合いの『回復期』があるのではないかと、今の状態と野球の若手抜擢をリンクさせて書いていたりと、執筆の切れ味は損なってはいないと思いました。

そんな中で野球好きには気になる評論がたくさんあったので、そのことを書いていきたいと思います。

日本のプロ野球界はメジャーリーグの生け簀!?になっているという評論

まず小関順二さんは、2022年のパリーグで百安打以上を打った外国人がいなかった点に触れ、メジャーリーガーバリバリだったアダムジョーンズが「日本のピッチャーのフォークボールがとにかく打てなかった」と発言をしている点でも、暗に日本のプロ野球がメジャーリーグに近づいていることを匂わせています。

なので、阪神にいたスアレスや藤波が通算記録57勝で大リーグ入りしたことにも触れ、NPBは大リーグの”生け簀”に見えているのではないかと書いています。

だから、ピッチャーだと横浜の今永や日本ハムの上沢など、55勝以上をしている投手や、打者だとヤクルト村上は近い将来大リーグに行くのではないかと予想して、ドラフトの上位でエース級ピッチャーやスラッガータイプの選手を今から取っといた方が良いという結論を出していて、それは納得の評論です。

現にドラフトではないのですが、オリックスは吉田の抜けた穴をFAで森を取って補強しているので、そういった対応力がある球団が勝利に近づく一歩なのかもしれません。

『不健全なチーム作り』をしている球団

そして一番辛口の球団は中日でした。根尾をピッチャーに転換したことを絶望したと書き、ロッテとのトレードで阿部と涌井の交換をして、ピッチャーはいいのに内野は弱める補強をしている中日は不健全なチーム作りをしていると評論して、ドラフトで内野手をたくさん取ったではないかという意見に対しても、私が嫌いなフレーズが『即戦力』であり『投手優先』のチーム作りをしている中日に、チーム作りにおけるロジックが現代野球から遅れていると断罪しています。

一方、褒めているのはドラフトで村上を取ってチームをスケールアップさせたヤクルトと、WBCにも選ばれた宇田川を去年の7月まで育成契約から支配下登録をして、自前で強くなったオリックス。

そして辛口なのが、育成選手の成長ではなく最近FAでまた選手補強をする方に舵を切ったソフトバンクと、そのソフトバンクから溢れ出たベテラン松田を取って、若手育成の妨げになるのではと巨人に警告を鳴らしているのには評論は納得がいきます。

また後半息切れをして順位を落とす楽天などを見て、ドラフトで若い高卒の選手を取るべきだというのは、この問題だらけの12球団の最初の頃からブレていなく続いている評論で、それが上手くやれている球団が少ないということが『問題だらけ』だということでしょう。

そんなドラフト評論の第一人者として、これからも長く読んでいきたいので、無事リハビリが上手くいって、問題だらけの12球団2024も発行されることを祈りたいです。

アマチュアで野球をやる子供が減っているという現象や、大リーグにどんどんと選手を取られていきそうな『生け簀』になっていく日本球界にとって、小関順二さんの評論はまだまだ必要だと思います。

どうか大病を乗り越えてください、小関さん!

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪