大腿骨骨頭壊死(指定難病)

大腿骨骨頭壊死になって。

 9月1日、不眠のために睡眠薬を適用量以上、3倍飲んだら寝室からトイレに行こうとして意識を失って転倒した。妻が慌てて呼び起こそうとしても、失禁して意識を取り戻さない。
慌てて救急隊を呼んで私は淀川キリスト教病院に搬送された。意識が戻ったら誰もいない病室に横になっていて、最初自分がどうなって救急病棟にいるのかわからなかった。しばらくしたら医師が来て綿棒で鼻腔内の粘液を採取していった。個室なので室温の寒暖を歌えたら調節してくれた。後日、綿棒で撮った鼻腔の粘液の検査をしてコロナに感染していると診断された。家内がコロナに罹患していたから家庭内感染をしたのだろう。(同居してる長女も後日コロナを発病した。)
 それからは、呼吸器内科のコロナ患者を隔離した四人部屋に移された。ここは寒くて部屋を暖かくしてくれとお願いしてもエアコンを調節してもらえず、毛布を貸与してもらうだけで、それでも寒いと訴えたら毛布を追加してくれるが重くて眠れない。トイレも点滴棒から点滴で繋がれているのでとても不自由した。尿瓶もつかったが満杯になってきてナースコールを押してもなかなか看護師が来ない。尿が尿瓶から溢れるのではと排尿中に心配した。感染したくないので患者や病室に入ることをできるだけ避けていたのかと思う。入室時も全身を細菌防護服で身を固めてくるので、頻繁にナースコールに応えていられなかったのかと思う。私より重症な患者が咳き込むのでよく眠れない。それでも10日近くしたらCTなどの検査結果で全快したので退院できた。母と長女が迎えに来てくれた。ただその時なぜか改めて整形外科を受診するように医師から伝えられた。
 後日、淀川キリスト教病院の整形外科に受診したらMRI(核磁気共鳴画像法)で調べるように言われ、其の結果が出る日にさらに整形外科に聞きにいった。医師は診断結果についてははっきり言わず、さらに腰部のレントゲン検査を撮影する様に言われた。そこでレントゲンを撮影して画像を見た医師からは、ステロイド薬(副腎質ホルモン)が原因の「大腿骨骨頭壊死(指定難病)」と診察された。これは大腿骨頭の一部が、血流の低下により壊死(骨が腐った状態でなく、血が通わなくなって骨組織が死んだ状態)に陥った状態である。骨壊死が起こること(発生)と、傷みが出現する事(発症)、には時間的に差があることに注意が必要である。つまり、骨壊死があるだけでは痛みはない。骨壊死に陥った部分が潰れることにより、傷みが出現する。したがって、骨壊死があっても壊死の範囲が小さい場合などでは生涯にわたり痛みをきたさないこともある。
 突発性大腿骨骨頭壊死症は、危険因子により、ステロイド関連、アルコール関連、そして明らかな危険因子のない狭義の特発性に分類されている。
 万一、大腿骨骨頭壊死症になり、傷みが出現した場合でも、手術などの適切な治療により、傷みのない生活を送ることができるので、過度な心配は禁物である。特に原因がようわかっていないものを「突発性大腿骨骨頭壊死症」といい指定難病である。
 「ステロイド薬を一日平均で15mg以上程度服用(代表的なステロイド薬のプレドニゾロン換算)」は危険因子となるが、処方されているステロイド薬を勝手に中止したり、量を減らすと、もとの病気が悪化することや具合が悪くなることがあるので、決して自己判断で中止したり減らしたりしてはならない。
 治療法は年齢、内科的合併症、活動性、片側性か両側性か、壊死の大きさや位置などを考慮して決定する。

治療方法。

(1) 保存療法
 壊死の大きさや位置から 予後がよいと判断できる場合や症状がない場合は保存療法の適用が出来る。関節症性変化が進むまで可動域は比較的保たれるため、積極的な可動域訓練は必要ない場合が多く、疼痛が強い時期には安静が必要である。杖による免荷や、体重維持、長距離歩行の制限、重量物の運搬禁止などの生活指導を行う。疼痛に対しては鎮痛消炎剤の投与で対処する。
 しかしながら、これらの方法では圧壊の進行防止は大きく期待できないため、圧壊進行が危惧される病型では骨頭温存のための手術療法の時期を逸しないことが重要で去る。症状が出現すれば、変形が進む前に手術療法を受ける方が治療効果は高くなる。

(2) 手術療法
 自覚症状があり圧潰の進行が予想されるときは速やかに手術適用を決定する。残念ながら現在のところ壊死して潰れた骨頭を元通りに治す治療法はない。
 壊死部が極めて小さい場合や体重がかからない場所にある場合は手術をせずに経過観察を行うが、体重がかかる部分にある場合は大腿骨頭の圧壊変形をきたす可能性が高く「手術的治療」が必要となる。
 手術的治療は大きく分けて「骨切り術」と「人工関節置換術」の2通りがあるが、どちらも利点と欠点がある。
 「骨切り術」
 骨切り術は壊死を免れた健常な関節面を荷重部(体重がかかる部分)に移動させて股関節機能を回復させる手術である。壊死を免れた部分がどの部分にどの程度残っているのかによって骨切り術の方法を選択する。
 大腿骨骨頭壊死に対して行われる骨切り術としては「前方回転骨切り術」「後方回転骨切り術」「内反骨切り術」がある。
 骨切り術を行い荷重部から移動した壊死部は健常な骨に置き換わると言われている。
 また骨切り術は自分の骨を利用して行う手術であるため若い年齢
で行っても一生関節機能を保つことができる可能性がある。
 将来的に人工関節にも移行可能である。
 リハビリ機関が長期必要であることや関節の動きが多少悪くなる可能性はあるが、若年者に対しては極めて有効な手術方法といえる。人工関節という治療カードを後々まで残しておくことに大きな意味があると言えるだろう。
 「人工関節置換術」
 一方、人工関節は壊死した骨頭を除去して、股関節に人工の関節を埋め込む手術である。人工関節術には大きく二通りある。
 人工関節は安定して傷みが取れ、関節の動きが確保され、入院リハビリ機関も短くて済む大変優れた治療法である。
 手術したその週から歩行訓練を開始できるため高齢者などでは極めて有効な手術である。
 しかし欠点もある。
 徐々に「ゆるみ」や「すり減り」が出現するために15年から20年程度で何らかの入れ替え術の必要性が生じる可能性があることや、感染に弱いことなどが挙げられる。また、特定の下肢の姿勢をすると股関節が脱臼する可能性があることも欠点の一つである。
 人工関節術に様々な問題が生じた場合、入れ替え術を行うことになるが、入れ替え術は何度も行うことは出来ない。このため50代以前の比較的若い症例では、多少条件が悪くても出来る限り骨切り術を検討する必要性が出てくる。
 「人工骨頭置換術」
 臼蓋側の置換は行わず「壊死した骨頭のみ」を置換する方法である。より簡便な方法と言えるが、術後も愁訴が残る症例が存在すると言われており、「人工股関節全置換術」がお薦めである。
 「人工股関節全置換術」
 「全置換術」とは、壊死した骨頭も臼蓋側も人工物に置換する方法である。
 変形性股関節症、大腿骨頭壊死、関節リウマチなどの疾患で股関節が著しく変形・破壊され、傷みと動きが悪くなり他の方法で改善が期待されない場合に検討する。手術の方法は、変形・破壊を来した大腿骨頭を切除し、骨盤側に半球状のカップを設置してその内部に特殊な加工を施された球状の凹みがあるポリエチレンをはめ込む。
 大腿骨側では棒状のステムと言われるものを骨の中に挿入してその先端に丸いボールをかぶせる。このボールが骨頭の役となり、ポリエチレンの凹みの中に入って股関節の働きをする。
 手術は通常1時間程度である。術中に適切な人工股関節医の設置が行えたかどうかの評価を何度も行う。
 術後、傷みはなくなり、股関節の動きも改善される。

リハビリ

特殊な場合を除いて、術後翌日から歩行訓練が開始できる。
 高齢者などでは、ベッド上の安静機関が長いと筋力の低下や体のバランスを保つ能力に支障を来して回復までに長期間を要することがある。よって高齢者では人工股関節全置換術が有利と考えられる。
 欠点としては、生体に大きな異物を入れる事による「感染や摩耗のための使用年数に限りがある」こと、「特定の肢位(強く曲げて内側にひねる)で脱臼すること」などが挙げられる。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪