明日、野球やめます 鳥谷敬自叙伝を読んで

僕の中のスーパースター鳥谷敬

鳥谷敬。同い年で、好きな阪神を自由獲得枠で逆指名して、入ってくれたスーパースター。とにかく、阪神に入団をしてくれた時の興奮が今でも忘れられない選手です。入団した後もショートという重責を全うし続けて、2000本安打も達成した、そんな大好きな鳥谷が、野球選手をやめた後『明日、野球をやめます』という自叙伝を出したので、迷いなく買いました。

そんな自叙伝の副題が『選択を正解に導くロジック』となっており、内容の中に自分で選択することの大切さ、そのための準備を忘れないこと、自分で選択をして準備をしたのなら後悔はないということが書かれていて、そのようなスーパースターの考え方が垣間見えて、とても読んでいて楽しかったので、皆さんにも紹介しようと思います。

内容は阪神を退団してロッテへと移籍をする所から始まり、ロッテでの2年間、その後にプロ野球選手になった頃まで戻って、それから家族のこと、現在を語るという風になっていて、最初で阪神を離れた時の印象を語っているのを見ても、それが鳥谷にとって大切な出来事だったのだと分かりました。

阪神から一方的に引退をして欲しいと言われ、自分ではまだできると思ったから、引退をしなかった結果、ロッテに移籍をして、その2年間の間で、常にファンが大勢応援してくれる阪神のいい所も分かったというのが、読んでいて印象的でした。自分が納得していないことなら曲げず、新たな経験をすれば新しい景色も見えてくる、そんな感想を持ちました。

凡人とは違う?鳥谷の考え方

そして、この本を読んでいて、僕みたいな凡人にはちょっと思いつかないようなことも、書いてありました。

元々、メジャーリーグ志向が強く、阪神を逆指名して入団したのも、土のグランドの甲子園で守れれば、海外の野球でも活躍できると踏んで入ったのに、海外FAを取った時に、契約社会のアメリカでいい契約を結べないと思ったら、その夢を捨てて、阪神に残ったということが語られています。

そのことについて、試合に出続けることができるのなら年棒が安くても海を渡ったが、試合に出られないのならば行っても仕方ないと割り切って、その決断について後悔は全くないというのが、凡人としては驚きです。

メジャーに行くため、選球眼を磨き出塁率を高めるよう努めてきたというぐらい、メジャーに憧れがあったのに、自分で決断をしたのだから、もし行っていたらどうなったのかとか、そんなことすらも考えないという人生観は、僕にとっては思考の高い話だと思いました。

あと自分には好走守でトップクラスの能力はない、しかし平均値は高いから、全試合出続けることにこだわったという客観性は、凄いなと思います。鼻を骨折しても、あばらが折れても出続け、その結果、プロ野球歴代2位の、1939試合連続出場という偉業まで果たせたのだから、ほんと天才は違うなと思います。

ポジションを失うことが怖かった、だから全試合出続けたという本音は、凡人の心にも突き刺さります。

鳥谷の極言

そして、この本の最後の方に、自分の考えの基盤になるような『極言』を上げているのですが、どれもがしびれます。

『悩むことがない』『後悔しても始まらない』『怒るのは無駄』『人の話を真に受けない』『普通を疑う』『ダサいのは嫌い』『どっちでもいい』どれもが凡人の僕からすれば、揺るぎのない考え方をしているのだなと思うものばかリです。
 
特に『後悔しても始まらない』というのが『何かを選択をした瞬間から、選択をしなかったことについて考えないようにしている。そもそも物事は、成功するものではなく、失敗をするものだと思っているから、その失敗を受け入れやすくするために、何を選択するかは自分が決めるし、その準備を怠らない』と言い切れるのが、いつもうじうじ悩んでいる僕からすると、爽快に見えました。

なので悩みが多い人ほど、読んでいて気持ちがいいと思うので、野球に興味がない人にも勧めてみたい本です。
僕も後悔のない人生を歩んでいきたいものです。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪