茨木の竜王山

昆虫採集

 体が弱かった父は私たちを鍛えようと自然の中に連れて行ってくれた。現地までは自動車であるが。どこで調べたのか茨木市の竜王山(510m)を中心に山登りや、まわりの小川に連れて行ってくれた。東海自然歩道でよく整えられた安全なコースである。
 小学校二年生の時に昆虫採集に行って大きなミヤマクワガタを捕まえたのがきっかけで、兄弟とも昆虫採集に夢中になった。クワガタには「ミヤジ」というなまえをつけクラスメートに見せびらかしたりして有頂天であった。ただ、クワガタムシのいるクヌギなどの樹液の染み出ているところには、よくスズメバチが居てるので注意が必要であった。刺されると猛烈に痛いし二度目に刺されるとアナフラキシーショックで命に係わる。いさぎよくあきらまたこともあった。一度、土手下に踏み込んだらそこに蜂がいて手を刺された。父が中和させるためにオシッコをかけると良いと言い出し、弟にオシッコをかけてもらった匂いで食事に集まっているのがわかるのである。

竜王山

 竜王山は修験道であり、鎖が垂れ下がっている修験場もあって、冒険心を満たすのにもってこいいであった。また、下ったところにある集落(車作)には昔ながらの藁葺き家に水車があり郷愁も覚えたものである。おもちゃのトランシーバーを買おうということになって、もう少し我慢してミドルクラスの上等のトランシーバーで兄弟で通信しながら山中を駆け巡った。母からはよく買うのを我慢したと褒められた。父は車にいてトランシーバーで我々を迎えに行くという微笑ましいハイキングである。

ハイキング

 麓の小川には小魚が居て、捕まえるのに夢中になった。淀川の魚とは異なり、やはり上流の魚である。
 隠れキリシタンの里でもあったが、興味がなかったから(今なら面白いだろうが)通り過ぎた。
 北摂山系のハイキングでは必ず通るコースでもあり、山道も変化に富むのでわたしは中学校、高校、社会人になってからも竜王山によく行った。
 麓の忍頂寺(寿命院)は高野山真言宗の寺院。キリシタンに焼かれた事もあったが、全盛時には23もの寺坊を有し勝尾寺などとならび修験道場としられる大寺院だったが盛衰を繰り返し支院の一つだった寿命院が現在の忍頂寺として残っている。
 数年前にに竜王山に行ったが、残念ながらカブトムシやクワガタムシの姿は見えず、藁葺きの家もトタン屋根に、水車も見当たらなかった。また道がわかりにくくなっており苦労した。新名神高速のが進んでいていたのに驚いた。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪