人間の怖さと心霊の怖さを詰め込んだ映画『箪笥』

『箪笥』とは

『箪笥』(たんす)は2003年に発表された韓国の映画で、韓国の古典怪談である『薔花紅蓮伝』6度目の映画化作品です。

まず『薔花紅蓮伝』とはどんなものなのでしょうか。
『そうかこんれんでん』と読み、李氏朝鮮における原作者不詳の文学作品やそれを題材とした舞台・映像作品を指します。内容としてはいわゆる継子いじめ譚であり、勧善懲悪を主題としたもので韓国では古典怪談として良く知られています。
箪笥以外にもたくさんの映像作品がありますので、気になった方はぜひそちらも見てみてください。
2009年にはハリウッドのドリームワークスが『ゲスト』という題目でリメイク版を公開していますが、残念ながら日本ではDVDの販売のみとなりました。

原作である『薔花紅蓮伝』では仲の良い村長の姉妹が継母の計略によって自殺に追い込まれ、幽霊となり家族に復讐するという内容です。
しかし『箪笥』では全く違った内容になっています。

『箪笥』のあらすじ

まず物語は可愛らしい姉妹にスポットが当てられて進んでいきます。
気が強くちょうど反抗期の時期であろう姉のスミと、姉によく懐き臆病なところがありながらんも妹特有のわがままさも持ったスヨン。
二人は幼い頃に母親を亡くしています。そして父が別の女性と再婚したとの報せを受け新居へとやってくるのです。
二人の継母となるウンジュは歳も若く美しい女性ですが、姉妹は彼女の笑顔の裏に何かしらの思惑を感じ取り姉のスミは反発し、体が弱い妹のスヨンは彼女を怖がります。
そして一家がその家で暮らし始めたその日から家の中では怪奇現象が次々と起こるのです。
姉妹を襲う悪夢と二人の前に姿を現す実母の亡霊。そしてウンジュの視界に映る不気味な影。様々な怪奇現象と元々の不和も相まって姉妹とウンジュの仲はますます悪化していきます。

そしてついにとある事件が起こります。
言う事を聞かないスヨンにウンジュが激昂し、彼女を部屋の箪笥に閉じ込めてしまうのです。
事態を知ったスミは父親に助けを求めるのですが、相手にして貰えず…

『箪笥』の怖いところ

タイトルにもなっている通り『箪笥』は「人間の怖さ」と「心霊の怖さ」が詰め込まれた作品です。
あらすじだけ読むと「悪いのはウンジュでは?」「かわいそうなスミとスヨン!」となるのですが、そこがこの作品のすごいところなのです。
スヨンが閉じ込められるからタイトルが『箪笥』なのか?
母親の亡霊は何を訴えているのか?
なぜ姉妹にだけ母親の亡霊が見えるのか?
ウンジュが虐待とも取れる行動を繰り返しているのになぜ父親は何も言わないどころか、妹を心配しているスミを叱るのか?
時折父親やウンジュが見せる違和感の正体は何なのか?
段々明らかになるそれぞれの関係性や思惑に夢中になると思います。

ぜひ余裕のある方は二回目を見て頂き、いたるところに散りばめられた伏線の回収をしてください。

参考文献 Wikipedia
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%AA%E7%AC%A5_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪