「本好きの下剋上」のすすめ

「本好きの下剋上」とは?

「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」は現在TOブックスより刊行中(既刊27巻)の、香月美夜による小説です。

もともと小説投稿サイト「小説家になろう」で3年半に渡り連載され完結した人気作品で2021年現在、複数のメディア展開が進行中です(ドラマCD、アニメ、漫画、その他高級茶器等公式グッズも人気)。

アニメは第三期放映が決定、漫画は全5部あるうちの第Ⅰ部は完結済み、第Ⅱ部から第Ⅳ部が同時進行中です。

なお昨年末より開始した第Ⅳ部は作画を担当するのがなんと、NHKでアニメ化された「ベイビーステップ」の作者である勝木 光、なろう小説コミカライズの作画選考に人気作を持つ漫画家自ら応募したというのは異例のことではないでしょうか。

物語は活字中毒で本のことしか頭にない女子大生、本須麗乃が異世界に転生し、貧民の少女マイン(後にローゼマイン)として生きることになるのですが、そこは識字率が低いうえ、紙が貴重品で、一部の貴族しか本が手に入らない世界、本がないなら自分で作れば良いじゃないと一念発起するところから始まります。

平民でも使えるような安価な紙づくりからスタート、前世の読書で得た知識をもとにエジプト文明のパピルス紙、メソポタミア文明の粘土板、黄河文明の木簡と試行錯誤を重ね、最終的に和紙を作ることに成功、その後インクを作成し、印刷機を考案し…と実は本づくり自体は割と序盤で成功し、

そのあとは本づくりの資金のためや生活向上のために並行して発明していた様々な商品や主人公自身の体質等が原因で様々な騒動が巻き起こるなか、本人はあくまでブレずに自分の図書館で本に囲まれて生きることを目標に突き進んでいくのですが。

「本好きの下剋上」の特色

この作品の特色として、本筋は一貫して主人公の一人称視点で語られ、他者視点の情報は閑話として随時補完されるという形で物語が進行していくことが挙げられます。

ここで物語を面白くしている、そして一部の強烈なアンチを生み出しているのが主人公マインの性格です。前世では歩きながら読書をして車に轢かれかけたり、図書館の閉館に気づかず読書を続け迷子として捜索され、発見時も夢中で本を読み続けていたといった逸話は数知れず、最後は地震で倒れてきた本棚の下敷きになって亡くなったという本須麗乃の本への執着はマインとして生まれ変わってなお健在。

本に関係することと周りの親しい人間以外のことには無頓着で、当然彼女視点で進行する本編には本来重要な情報が描かれないことが多々あります。

その辺りは読み進めていくうちに随時補完されていくので、一度ハマった人は何周も読み返してその度に新たな発見をして楽しむようになる半面、描写されていない情報による錯覚から、全く共感できない、主人公の性格がおかしい等反発しアンチになる人も少なくないようです。

熱心なファンは信者と呼ばれ、インターネット掲示板5chのファンが集うスレッドは800を超えており、一方アンチスレも50近くまで伸びています。Amazonの小説1巻の書評も一つ星の酷評が先頭に並んでいます。

かく言う私も、実は最初はアンチになりかけていたのでアンチの心理はわかるところがあるので、そのあたりに軽く触れてみたいと思います。

「本好き」アンチの言い分

私の場合最初に漫画1巻を読み、そのあと小説に移ったのですがこの、漫画からスタートしたということがこの作品への違和感を生み出した一番大きな要因だったと思います。

ただでさえ意図的に主人公以外の視点が省かれている原作から地の文を省いているわけですから、突然幼児に生まれ変わってパニックに陥っている主人公の葛藤が、直前まで女子大生だったはずなのに我がまま放題大人気ないものに見えてしまいます。

主人公の感情が昂って抑えられないことには実は理由があるのですが、そのことが語られるのは小説の第3巻。

自分の作っていた粘土板を近所の子供たちに踏まれ、目の色を変えて怒り狂うシーンには私もドン引きして一度は読むのをやめました(笑)。

それから、タイトルにもなっている「本好き」ですが、この主人公が好きなのは正確には本ではなく文字(活字)です。

私を始めとするただの読書好きにしてみると、他人の書いた話が読みたくて読書するわけで、主人公の自分で本を書こうという決意にいまいち共感できません。

でも実はよく読むと、前世でも主人公は文字であれば何でも飛びついています。説明書でもチラシ広告でも教科書でも内容は問わず活字を読むと気持ちが安らぐ活字中毒です。自分で書いた文章を眺めるだけでも満足できる人なのです。ここに納得できない人は多いようで、書評を見ても純粋な読書好きを名乗る方々から厳しい意見が並んでいます。

しかし「読書好きなら~のはず」という意見のなかには、あなた本当に読書好きなの?と聞きたくなるような難癖も結構あります。

・読書好きなのに空気が読めなさすぎ。

・本をたくさん読んでいるのに物を知らなすぎ。

・本を読んでいるのに精神年齢低すぎ。

本で読んだことは全て覚えて、得た知識を対人関係にも活かし、人格的にも優れている。

それは読書好きではなくてただの超人ですね。

人は未熟さを補うために本を読むのだと思います。

そして、こういうことができたらいいな、こんな風に振舞えたらいいな、と思いながらも実生活にはなかなか活かせず、もがきながら試行錯誤して生きていくのだと思います。

アンチの方々もまずは、転生した幼い主人公の言動に憤る気持ちを抑え、自分が同じ立場になったら何ができるかなとか考えながらのんびりと読み進めて欲しいなと思います。

ムカつくのは最初の1、2冊くらいでその後続巻も含めれば30冊以上も楽しめること請け合いです。

■詳しくはコチラ
http://www.tobooks.jp/booklove/index.html

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