図書館司書になるには

図書館司書を目指すきっかけ

図書館司書に興味を持ったのは、病院のデイケアで図書係をやったのがきっかけだった。もともと本を読むのが好きな方だったので、病院のお金で本が買えるというのが魅力で始めた。予算は毎月5,000円。リクエストがあれば、それに応じた。毎月5,000円分の本をコンスタントに買うことは今思えば大変な作業だった。毎月5~6件の本屋を回って、話題の本を見つけては買い、または目新しい雑誌があれば購入した。分野は広く社会科学から漫画まで様々な方面に気を配った。ちょうど5,000円以内にするのは難しく、毎回苦労をした。本屋を巡る電車代は自腹だった。

それでも5年以上続けられたのは、本に対する眼力を養うためでもあったと思う。図書館司書を意識し始めたのは自然の流れだった。

どのように取得したか

私が図書館司書資格を取得したのは、近畿大学通信教育部である。大卒なので、司書補でなく司書を目指すことができた。通信教育なので、レポート課題を提出し大学で試験を受けなければ単位を取得とならない。また、スクーリングもあり、大学で講義や演習も受けなければならない。近畿大学には何回通ったことかわからない。若い人と一緒に演習を受けるのは、大いに刺激となった。スクーリングで知り合った中には近畿大学通信教育部短期大学の卒業を目指している方もおり両立は大変だろうなあと思った次第であった。また、近畿大学は近鉄沿線の東大阪市内。もう少し大阪市内に近いと楽なのにと当時は思った。

必要な科目と単位は以下の通り。
必修科目    単位数
生涯学習概論     1
図書館概論     2
図書館経営論     1
図書館サービス論   2
情報サービス概論  2
レファレンスサービス演習 1
情報検索演習     1
図書館資料論     2
専門資料論 1
資料組織概論 2
資料組織演習 2
児童サービス論 1
以下選択科目(2つ以上選択) 単位数
図書及び図書館史 1
資料持論 1
コミュニケーション論 1
情報機器論 1
図書館持論 1

レポート課題と試験を受けるのだがなかなかすんなり単位が取れるわけではない。最後の手段として他校で認定単位を取るという方法もある。私自身この方法で図書館情報技術論2単位、情報資源組織論2単位を八洲学園大学で取得した。
八洲学園大学はインターネットを使った大学である。レポート課題をインターネットで提出し、単位を取得する大学である。覚えておいて損はないだろう。ただ資格が欲しいだけなら八洲学園大学で十分であるが、近畿大学通信教育部のほうが内容も濃いので、図書館司書を目指すならこちらの方がおすすめだ。

学習した中で、特に記憶に残っているものとしては、図書及び図書館史。本・書籍に関する概念が変わった。古代西洋では、話し言葉の方が書き言葉より重要視されていた点である。

『アリストテレスの千達であるソクラテス、プラトンにおいては、必ずしも文字で記録された文献を尊んでいた訳ではなかった。ソクラテスは、魂がこもった生きた言葉は話し言葉であり、書き言葉は単にその写しであるとみなしていた。ソクラテスは、書物以前に、文字そのものに懐疑を抱いていたらしい。
エジプト神話のトトにタモス神が「おまえ[トト]がこんなもの[文字]を見つけたばかりに、学ぶ者の心は忘れやすくなってしまうだろう。記憶力を使わなくなるからだ。・・・弟子たちに伝わるのは真実ではなく、まがいものの真実だ。・・・見かけは賢そうでも、中身は空っぽだから」と叱責したという話をパイドロスとの対話にひいている。
プラトンは「対話」を重んじ、アリストテレス自身も講義を思想伝達の第一と考えていた。書物は、師の講義を弟子が記録するものであり、哲学者が自ら書いてその思想を著すものではなかった。』             近畿大学通信教育部テキストより

キリスト教の聖典「新約聖書」は、2-4世紀にかけて四福音書・使徒行伝・書簡・黙示録の27書からなる現在の形に成立したと推定されている。
つまり、使徒たちが記した「新約聖書」は全体としては正しいとしても個別の書を取り上げれば絶対的な真実ではない可能性もある、ということもいえる。キリスト教原理主義等の一部の宗教が現代社会と軋轢を起こしているのはこの辺りにも原因があるのではないか。
これはキリスト教に限らずイスラム教にも当てはめることができると思う。いわゆるISやタリバンなどの過激派組織にも言えるのではないか。本来のイスラム教はもっと常識的な宗教であると信じる。

後日談

2年半かけて資格を取得した。地元の図書館に就職しようと問い合わせしたが、パソコン知識Word・Excelが使いこなせないとダメだという。パソコンを教える余裕はないという。そのためパソコン教室に通うことにした。地元の商工会議所でやっているパソコン教室に1年半通ってWord・Excelの基礎を学んだ。その後就労移行支援事業所でP検4級取得、別の就労移行支援事業所でWord・Excelの中級を学んだ。ここまですれば大丈夫だろうと思っていたが、毎年出ていた地元の図書館の就職の求人がぱったりと止んでしまった。
あまりにも回り道をしすぎた感もあるが一つ一つステップを踏んでいかなければ前に進めない性格だからしかたない。
大学図書館ともなると専門知識・英語が必須条件となってくるのでもっと敷居が高い。
図書館司書という資格はなかなか厄介なものである。

written by 就労継続支援B型事業所 ユアライフ新大阪